2015年度から、勤務校(愛媛県立今治東中等教育学校)で、土曜市民講座『東大入試で学ぶ日本史』を開講した。それが『教科書一冊で解ける東大日本史』という著書につながっていったのだが、その分、他大学の問題への関心が少し希薄になっていた。 ところが、先日、2016年1月20日付けの「現代日本で歴史の大学入試が抱える問題点」という記事で、阪大の桃木至朗先生が、 勤務先の入試(2次試験前期日程)では、日本史はすべて、世界史も大半が論述式の出題なのだが、文章力の乏しさもさることながら、知識の有効な使い方ができない受験生が目立つ。(略) いささか誇張して言えば、具体的な個別事象や名称や年代を無限に暗記し続ける勉強法だけを仕込まれ、複数の事象を「つなぐ」「くらべる」思考法もGDPのような概念の意味や定義を問うことも学ばず、文章で説明する(論ずる)すべも身につけていない「難関大学受験生」がここにいる。これを「要点を論理的に説明できる」水準に持って行くのには、ひどく手間がかかる。しかし、知識を要約して説明できない者が自分の考えを組み立て、他人と討論することはできない。 と書かれているのを知った。 ぼくは、以前、下記に記したように「阪大の問題は教科書の要約で書ける、面白味はないが良心的な問題」ととらえていた。 しかし、桃木先生の言葉に、要約をさせることこそが、受験生が「意味のある問いを立て、さらに何が言えたらその問いに答えたことになるかを見きわめる能力」を身に付けているかを測る最適な方法であることに気付かされた。本当に、目からウロコが「ボロボロ」落ちた。 やはり、「阪大は、さすがは阪大」であると思った。 と言うわけで、阪大の問題解説を再開することにした。 (2017年2月26日) |
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阪大の問題は、基本的に良心的である。教科書記述の要約で書ける。 大手の予備校がない地方の現役高校生でも、教科書をしっかり読み込めば答案がつくれる。 中には、「覚えているだけでは解けない問題をつくるべきだ。」と主張する人もいるだろうが、ぼくは「大学入試の問題は、努力した生徒が報われる出題であるべきだ。」という考えなので、努力に比例して報われるタイプの阪大の出題は、面白味はないかもしれないが評価している。 さらに、阪大の問題は、縦と横の設問で構成されている。 「縦」とはテーマにそって流れを問うもの、「横」とは時代の特徴を問うものである。 日本史の出題としては、王道だと言える。 と、昨年(2012年度)高く評価したのだが、2013年度は全部「横」であった。2012年度の構成は偶然か? (2013年3月) |
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2006年度 第1問 第2問 第3問 第4問 2007年度 第1問 第2問 |
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再開後作成しました。
2009年度 第1問 第2問 第3問 第4問 第4問 (明治政府の官営事業の展開) 第3問 (幕末の開港が流通構造や物価に与えた影響) |
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2017年度 第1問(自然環境の変化と縄文文化の採取経済のあり方) | |||
第2問(東大寺の焼失と復興) | |||
第3問(バテレン追放令の理由とその効果) | |||
第4問(明治末から大正初期の民衆運動とその影響) | |||