窓 「出題ミスに振り回されるな!」の続編でもある。(通史編を順番に見ている人にとっては、こちらが先にくることになるが)
かつて愛媛県松山市の某私立大学の入試問題で、「八色の姓の中で、渡来系の豪族に与えられたのは何か。選択肢から一つ選べ。」という問題が出た。
選択肢は「ア.真人 イ.宿禰 ウ.忌寸 エ.道師」であった。
地元新聞紙上の予備校の解答例や赤本では、解答はイ.宿禰となっている。(赤本は、強いて1つ選ぶならイとなっている。)
しかし『国史大辞典』を引いてみれば分かるが、「イの宿禰もウの忌寸も、ともに渡来系の豪族に与えられた姓」と書いてある。正答は、イとウの両方である。(出題者が気付いているかは疑問。新聞社に解答例を頼まれた予備校も、「出題ミスであり正答はイとウの両方」と発表すればいいのにね。)
とまあ、これだけなら「お粗末な出題ミス」で終わりだが、選択肢が一つ変わるだけで、「猫では解けない」渋い問題となる。例えば、選択肢ウが稲置なら誉めてやりたいような問題になる。
本編で述べた通り、八色の姓は実際には、上の4つ(真人・朝臣・宿禰・忌寸)しか与えられなかったから、下の4つである「道師・臣・連・稲置」に該当するものはまず消える。この段階で答はア.真人かイ.宿禰のいずれかである。そしてア.真人は皇族のみに与えられた姓だから消えて、答はイの宿禰しかないということになる。
八色の姓を全て覚えていることが前提であり、決して簡単な問題ではない。ぼくのシールで言えば「やや!難問」となる。(「おおっとぉ!超難問」シールの手前)しかし、日本史を得点源に考えている者にとっては、できなければならないレベルである。
(2003.2.22)