『近代編後期8 恐慌からの脱出/学問・思想の弾圧』

 ここは、ノートではP.130の最後に<恐慌からの脱出>、P.132に<ファシズムによる学問・思想の弾圧>としてまとめている部分です。

(P.130)


1 恐慌からの脱出
 
 ポイントは3つ。『高橋(是清)財政とは何か』『新興財閥とは何か』『対米依存度の高まり』の3点である。

(1)高橋財政
 キーワードは、赤字国債軍事費増大」。つまり赤字国債の発行で軍事費を増大させる積極財政(膨張財政)で、内需拡大を図った。
 これと、金輸出再禁止(1931/犬養内閣)による円為替相場下落を利用して、飛躍的に輸出を伸ばし、1933年ころには、他の資本主義国に先駆けて、世界恐慌以前の生産水準を回復した。
 綿織物輸出が、イギリスを抜いて、世界1位となったことは、正誤問題注意!イギリスが「ソーシャル・ダンピングと非難し、ブロック経済圏(植民地から他国製品を締め出す)で対抗」したことは丸暗記ネタ。
 一方、浜口内閣からの産業合理化の流れの中、鉄鋼業界では、大合同により半官半民の国策会社(満鉄と一緒!)として日本製鉄会社が誕生した。また、金輸出再禁止後日本は管理通貨制度の時代となり、今日に至っていることも知っておかなければならない。
 高橋の膨張財政は、二・二六事件で彼が暗殺された後成立した、広田弘毅内閣の蔵相馬場^一によって修正され、増税へと向かうことになった。(馬場^一は無理して覚えなくてよい)

(2)新興財閥
 ノートには5つ挙げているが、2つを正確に。
日産鮎川義介満州の重化学工業」
日窒野口 遵朝鮮の化学工業」
 尚、新興財閥は、軍部による支持があった(三井などは軍部が批判)ことは、正誤問題注意。

(3)対米依存
 「日米関係は、政治的にはどんどん悪化したが、経済的には日本の対米依存度は高まっていた」からこそ、アメリカによる経済封鎖がこたえた。『綿花石油・屑鉄・機械』の4つは覚えて欲しい。


(P.132)

 ファシズムによる学問・思想の弾圧 
(1)森戸事件
 大正デモクラシー下でも社会主義の研究には制約があったという例であるが、ここでまとめさせてもらった。森戸辰男の「クロポトキン」の研究が弾圧された。
(2)滝川事件
 一番よく出題されるのが、滝川事件であろう。「滝川幸辰刑法理論→京都帝大免職」と「天皇機関説問題=美濃部達吉=憲法理論→国体明徴声明・美濃部貴族院議員辞任」の正誤問題。(順番は滝川事件の方が先)(エピソード「滝川事件を巡る人々」へ)
(3)転向
 転向とは、この場合、共産主義者・社会主義者がその思想を捨てることを意味している。
 共産党の最高指導者たち(佐野学ら)が獄中から「自分たちの運動は間違ってた」と声明(獄中転向声明)したことが大きな影響を与え、社会主義者が大量に転向することになった。赤松克麿の国家社会党』も、時々出る。
(4)その他
 これがめんどい。センター試験でも出題されるレベルではあるが、後回しでもいいかなとも思う。
 「矢内原忠雄=植民地政策(大陸政策)批判」
 「河合栄治郎=『ファシズム批判』」
 「人民戦線事件=東大教授グループ(大内兵衛・有沢広巳ら)」(正確には第1次、2次がある)
 「津田左右吉古代史(記紀研究)『神代史の研究』」
と、キーワードを整理すること。

2010.3.5改訂

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