エピソード 『南蛮文化』


 山川出版社の『詳説日本史』には、南蛮文化について「日本ではこれらの文化を積極的にうけいれ、今日なお衣服や食物の名には、その影響が残っているものがある。」と記されている。
 さらに脚注には、今も残っているポルトガル語として、カッパ、カルタやコンペイトウが挙げられている。

 「えっ、カッパは合羽、カルタは歌留多、コンペイトウは金平糖じゃないの!

  う〜ん、この日本人が作った当て字の素晴らしさ!すべて「いい得て妙」な字じゃないですか。金平糖なんて、あの星のような砂糖菓子を表すのに、これ以上の表現があろうか。

 漢字の当て字と言えば、「檸檬」も美しい。(本当はレモン色で脚色したかったのだが、光って見えなくなった。)梶井基次郎の小説「檸檬」が、もし「レモン」だったら、興ざめである。(そういえば、かつてグレープフルーツの輸入が自由化される時、「檸檬に匹敵するような、グレープフルーツの漢字を募集」していたが、あの話はどうなったのだろう?もし、ご存じの方がいらしたら、教えてください。)

 また脚注には、戦国大名と南蛮文化のエピソードも載っている。その補足。

 織田信長が、葡萄酒を飲んでいた話は有名である。彼が好奇心旺盛で、新しいもの好きだったことは確かだが、何でも受け入れた訳ではなかった。

 例えば、望遠鏡を渡された時は喜んだ。

 「これは敵の様子がよく分かりそうだ。」

 さすがである。しかし、機械時計は、そうでもない。これはいらないと言ったらしい。その理由は・・・

 「壊れたら直せない。何より、いつも時間に縛られたら、人間性が貧しくなりそうだ。

 厳しいほどの几帳面さと併せ持つ、こうした側面も、信長の魅力の一つであろう。

(2003.3.10)

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