エピソード 「榎本武揚と黒田清隆」

 榎本武揚が幕末、幕府からの留学生として、オランダへ留学経験があることは知っておきたい。

 北海道を独立国家(蝦夷共和国)とし、慶喜を招くという夢がやぶれ、覚悟を決めた榎本武揚は、密かに新政府軍の司令官だった黒田清隆に使いを送った。榎本がオランダ留学中に手に入れた海軍関係の本一式全てを、黒田に託し、「この本を、これからの日本のために役立ててくれ。」と言づけた。
 これに感動した黒田は、西郷隆盛に対して「この男は、これからの日本のために、なくてはならない人物だ。もし榎本を殺すのなら、そんな新政府、自分はやめて坊主になる。」と脅した。そして、榎本に対して「死ぬな。」と説得した。それを受け入れて、榎本は降伏。欧米諸国が戊辰戦争に不干渉の立場をとったこともあって、日本は植民地化の危機を脱した。榎本は収監されたが、後、明治政府の要人として、外交面などで活躍することとなる。

 黒田清隆という男は、酒乱で大変だったが、男気に厚かったということやね。


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