岸信介の顔は図表などで見ることが出来る。う〜ん、「昭和の妖怪」という言葉が頷ける面構えだと思うのは 、僕だけだろうか。しかもさすがに実の兄弟。佐藤栄作ともやはり似ている。
ところでこの妖怪、ボロクソに言われてきたが、最近再評価の声もある。「いろいろあったが、日本がこの短期間にこれだけ復興できたのも、やはり岸信介のお蔭なのではないか」という意見である。
安保闘争の嵐が吹き、条約締結を目前にして首相官邸が数万の民衆に取り囲まれ、門を打ち破って中へ入ろうとする群衆と、それを阻止しようとする警官隊がぶつかり合い、官邸が殺気に包まれていた時、岸信介は実の弟佐藤栄作と、テレビで巨人・中日戦を見ていた。
そして、岸は弟にこう言った。
「兄弟二人、ここで死ぬのもいいか」
政治は結果責任だとよく言われる。それを否定するつもりはない。しかし、妖怪、自分の信念に対する覚悟はあったように思える。
(2002.9)
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