エピソード 『自由党が伊藤内閣に協力した理由』

 フランス流急進主義を唱え、民党中の民党の感のあった(まぁ、植木枝盛らが買収されたりはしたが)自由党が、なぜ第2次伊藤内閣に協力したのか。教科書には触れられていない。

 このころ、自由党最大の実力者は、星亨であったといってよい。あの「大同団結」の提唱者で、保安条例で東京から放り出された人物である。政治家として剛腕で、「おしとおる」というあだ名があった。

 しかし、彼は極貧の家の出で、青年期まで日々の生活にも事欠く状態だった。そんな彼をバックアップして、学校にも行かせてくれた大恩人が、陸奥宗光であった。陸奥が伊藤内閣の外務大臣として、条約改正に政治生命をかけていることを知った星は、自由党を率いて、この大恩人に報いようとしたのだった。果たして、陸奥が治外法権の撤廃に成功するのは、周知の通りである。

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