2018年度 『筑波大学 その4』
明治期の地方制度の変遷
次の各問について,それぞれ400宇以内で解答せよ。
IV 明治期の地方制度の変遷について,次の(ア)〜(エ)の語句を用いて論述せよ。解答文中,これらの語句には下線を付せ。ただし,語句使用の順序は自由とする。
(ア)地方三新法 (イ)地方改良運動 (ウ)市制・町村制 (エ)内務省
『詳説日本史』の抜粋で作成しました。
<野澤の解答例>
明治政府は、廃藩置県によって中央から派遣された府知事・県令に地方行政に当たらせ、政治的統一を完成した。また地方行政や殖産興業などを担当する省庁として内務省を新設した。不平士族による反乱がおさまると地方統治制度の整備をはかるため地方三新法を制定し、府会・県会を通してある程度の民意を組み入れられる地方制度となった。立憲体制が樹立される時期になると、ドイツ人顧問モッセの助言を得て山県有朋を中心に地方制度の改革が進められ、市制・町村制、府県制・郡制が公布され、政府の強い統制のもとではあるが、地方の有力者を担い手とする地方自治が制度的に確立した。日露戦争後になると、地租や間接税の負担増のもとで、農業生産の停滞や農村の困窮が社会問題となった。これに対し政府は、内務省を中心に地方改良運動を推進した。これは租税負担力の増加をはかるものであったが、江戸時代以来の旧村落の財産が、町村に吸収されることになった。(400字)
2020.11.7
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