2016年度 『筑波大学 その4』


明治初期の社会と文化


次の各問について,それぞれ400字以内で解答せよ。

W 明治初期の社会と文化について,次の(ア)〜(エ)の語句を用いて論述せよ。解答文中,これらの語句には下線を付せ。ただし,語句使用の順序は自由とする。

(ア) 地券  (イ) 『学問のすゝめ』  (ウ) ザンギリ頭  (エ) 四民平等



 以前から「山川神話」の弊害を述べてきたが、「四民平等と近代化政策」の関係を端的に述べているのは、実教の教科書だと思う。

 生まれにより職業や地位が決まる身分制は近代化をすすめるには不適切であり、政府は身分制を解体する四民平等の政策をとった。(実教『日本史B』p229)

 また、地券についても

 廃藩置県後、各藩で異なっていた税制を統一し税収を安定さえることが政府の課題となった。1871年、政府は農地の作付制限を撤廃し、1872年には田畑永代売買禁止令をとき、年貢負担者に地券を交付した。これにより土地は地券所有者が自由に処分できる私有財産となり、土地制度は資本主義経済に適合的なものにかわった。そのうえで、土地に課税する地租改正条例を1873年に公布した。(実教『日本史B』p231)

 見事な説明だと思う。
 これを使えばもっとスマートな答案が書けるのだが、最も利用されている『詳説日本史』(山川)を使って書くという、ぼく個人のポリシーにそって、以下の解答例を作成した。
 

<野澤の解答例>
 明治政府は富国強兵を目指し、近代化政策を進めるために、弊害となる封建的身分制の撤廃を進め、職業選択の自由を認めて四民平等とした。国民自身が産を立てるために学制を公布して国民皆学とし、国民皆兵を原則とする徴兵令により、士族・平民の別なく兵役の義務を課す近代的兵制を立てた。また、財政の安定を図って地券を発して地租改正を行い、近代的租税制度を整えた。政府は西洋文明の摂取による近代化の推進を図り、学問・思想や生活様式まで取り入れようとした。思想界では自由主義・個人主義が流行した。福沢諭吉の『学問のすゝめ』などは啓蒙書として盛んに読まれ、大きな影響を与えた。太陽暦が採用され、洋服の着用が官吏から次第に民間に広まり、ザンギリ頭が文明開化の象徴とされた。銀座通りには煉瓦造りの建物が並び、ガス灯・鉄道馬車などが東京の名物となり、牛鍋が流行した。その一方で古い芸術品や芸能が軽視され、貴重な文化財が失われた。(400字)


2020.11.14

 
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