史料『漢字の使用例〜律令制度』のポイント

漢字の使用例(ワカタケル大王)
「・・・世々、杖刀人の首・・・ワ加多支歯大王(ワは獲のくさかんむりナシ)の寺(とき)・・・」(稲荷山古墳出土鉄剣銘)
ワ加多支歯大王雄略天皇で、稲荷山古墳が埼玉県だと分かればよい。

仏教伝来
志癸嶋天皇の御世戊午年十月十二日、百済国主の明王、始めて仏像経典并に僧等を度し渡る・・・」(『上宮聖徳法王帝説』)
志癸嶋天皇欽明天皇戊午年538年。仏教が百済聖明王から伝えられたのは基本中の基本。出典も必須。

憲法十七条
「(推古天皇十二年)夏四月丙寅朔戊辰、皇太子、親ら肇めて憲法十七条を作りたまふ。
一に曰く、を以て貴しとなし、忤うることなきを宗とせよ。
二に曰く、篤く三宝を敬え。三宝とは仏・法・僧なり・・・
三に曰く、を承りては必ず謹め。
十二に曰く、国司・国造、百姓に斂(おさめと)ることなかれ。」
推古天皇の十二年604年皇太子はもちろん聖徳太子憲法十七条三宝国造とも空欄補充。仏・法・僧は法が抜かれることが多いがすべて知っておきたい。

遣隋使
大業三年、その王多利思比孤、使を遣わして朝貢す・・・「日出づる処の天子、書を日没する処の天子にいたす。恙なき云々」と。、これを覧て、悦ばず。・・・明年、上、文林郎裴清を遣わして倭国に使せしむ。」(『隋書倭国伝』)
大業三年607年多利思比孤聖徳太子推古天皇との2つの説がある。日出づる処の天子で問われれば推古天皇日没する処の天子はともに煬帝である。裴清は答礼使の裴世清のことだが、意地の悪い空欄補充では正確に埋めることを要求される。出典も出来なければならない。

改新の詔
「其の一に曰く、昔在の天皇らの立てたまえる子代の民、処々の屯倉、および別には臣・連 ・ 伴造・国造・村首(むらのおびと)の所有(たもて)る部曲の民、処々の田荘を罷(や)めよ。よりて食封を大夫より以上に賜うこと、各差ん。・・・
其の二に曰く、はじめて京師を修め、畿内国司・郡司・関塞(せきそこ)・斥候(うかみ)・防人・駅馬・伝馬を置き、鈴契を造り、山河を定めよ。・・
其の三に曰く、初めて戸籍計帳班田収授の法を造れ。
其の四に曰く、もとの賦役を罷めて、田の調を行え。・・・別に戸別(へごと)の調を収(と)れ。」
赤字は空欄補充。この他、関塞(せきそこ)の読み方などが聞かれたこともある。また戸籍・計帳・防人に関する正誤問題を引っ張ってくることもあるが、基本事項を押さえておけば怖くない。

律令制度
「凡そ戸は、五十戸を以て里とせよ。里ごとに長1人置け。・・(→50戸で一里だと分かっていれば解ける。)
  凡そ計帳を造らんことは、年毎(→毎年造るのだから計帳と見極めたい。)に六月の三十日以前に・・・
  凡そ戸籍は、六年に一たび造れ。(→戸籍は六年1作は基本)
  凡そは、長さ三十歩、広さ十二歩を段とせよ。(→30×12=360歩が1段である。)十段を町とせよ。段の租稲二束二把(→租は段別二束二把は基本中の基本)町の租稲二十二束。・・・」(戸令)
「凡そ口分田給わんことは、男に二段女は三分が一を減ぜよ五年以下には給はざれ。・・・(→要注意!男が二段は言うまでもない。女は「3分の1を減ぜよ」だから男の3分の2。「五年以下には給はざれ」だから6歳以上である。)
  凡そ田は、六年に一たび班え。(→口分田が6年1班なのは基本中の基本)」(田令)
「凡そ正丁の歳役は十日。もし収るべくは、布二丈六尺。・・・(→しっかり!歳役10日の代わりが庸布2丈6尺である。)
  凡そ令条の外の雑徭は、人ごとに均しく使え。すべて六十日に過すこと得ざれ。(→雑徭は60日以内という基本問題)」(賦役令)
「凡そ兵士の京へ向ふをば衛士と名づく。・・・辺を守るをば防人と名づく。(→衛士と防人の内容が分かっていれば怖くない)」(軍防令)

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