センターテストまで残り4日となった今夜、このタイプの文章の見極めこそが、「センターの正誤問題でひっかかるか否か」の境という質問を受けました。良かったら参考にしてください。
「第二次産業革命の1909年に満州・朝鮮への綿布の輸出が、輸入をこえたって書いてあって、第一次世界大戦中にもアジアへの綿布輸出→輸出超過って書いてあるんです。この二つの違いは何ですか??」
さて、どうでしょう。
1.第二次産業革命は日露戦争前後。日本は満州へ進出し、朝鮮を植民地にしようとしています。そこ(満州・朝鮮)への綿布輸出は増加しました。これは事実。
2.第一次世界大戦のいわゆる「大戦景気」で、アメリカへの生糸、アジアへの綿布輸出が激増。これにより輸出超過、つまり貿易黒字となりました。これも事実。
ではどう違うのか。落ち着いて、表のようにして言葉を比べてみれば判ります。1は貿易が黒字になったとは書いていない。
日露戦争後、朝鮮や満州への綿布(綿織物)の輸出(朝鮮は、植民地にして以後は移出という)が増加しました。しかし、インドからの原料綿花の輸入は巨額に上り、アメリカ向けの生糸輸出で外貨を獲得したものの、貿易収支は大幅な赤字でした。
言われてみれば何てことはないでしょう。焦らない、うろたえない。正誤問題で全て正しいように見えて迷ったら
1.もう一度設問文を読んで、一つ一つの文章は正しくても、条件に合わないものはないか確かめる。
2.同じように見える文章でも、一方にはあって、もう一方にはない要素は何か、確認する。
そして
3.見たこともないような年代(○○年)はまず合っていると考え、大雑把は時代区分(○○世紀のいつ頃)は疑え。
と言ってきたでしょう。センター本番で、日本史で時間が足りなくなることはまずありません。大きく息をついて、改めて設問から見直しなさい。
2003.1.14
このページを見てくれている皆さんへ 野澤道生