中学校定期考査対策『自由民権運動〜大正文化』 

 ここにあげたのは、リクエストに応じる形で中学校2年生の定期考査対策用に作成したものです。あくまで中学生向けですので、雑としたものです。しかし大学受験生にとっても、大きな流れを掴むのに役立つところがあるのではないかと思います。参考になれば幸いです。

 日本史の出題は、大きく分けて次の2つのパターンがある。一つは時代順に問うもの。例えば、鎌倉時代を執権ごとに出来事を聞く方法である。
 そしてもう一つがテーマ別の出題である。具体的に言うと、政治史、外交史、経済・産業史、文化史の4つであり、愛媛県の高校の県模試もこの構成になっている。
 ここでは、自由民権運動の開始から大正文化までをテーマ別にまとめてみた。
 
 
 1.政治史
 
 民撰議院設立建白書(1874)で自由民権運動スタート→藩閥政府に対抗→士族のほか、豪農や商工業者を含めて展開→国会期成同盟(1880)→開拓使官有物払下げ事件を機に、明治14年の政変おこる。大隈重信を政府から追放するとともに、10年後の国会開設を約束(1881)→自由党(板垣退助)・立憲改進党(大隈重信)結成→伊藤博文が渡欧して憲法調査/民間では私擬憲法作成
 →内閣制度発足/初代総理大臣伊藤博文(1885)→大日本帝国憲法発布(1889)→第一回衆議院議員選挙(有権者は直接国税15円以上を納める満25歳以上の男子)/教育勅語(1890)→帝国議会開かれ、民党と政府対立
 →日清戦争後両者歩み寄り→立憲政友会発足=伊藤博文+自由党(1900)→桂園時代(西園寺公望・桂太郎)→第2次西園寺内閣が「陸軍のストライキ」で崩壊→第3次桂内閣に対して、第一次護憲運動おこる→大正政変(1913)→(第一次世界大戦)→シベリア出兵から米騒動(1918)→原敬内閣成立(最初の本格的政党内閣)→(非政党内閣/関東大震災)→(清浦奎吾内閣成立)→第二次護憲運動おこる→加藤高明内閣(護憲三派連立)→憲政の常道スタート(普通選挙法と治安維持法制定)

 2.外交史
  条約改正の苦悩(井上馨の鹿鳴館外交→ノルマントン号事件で辞任)→イギリスがロシアの南下に備えるため日本に接近→大津事件で挫折→甲午農民戦争=東学の乱(1894)→日清戦争/日英通商航海条約で治外法権の撤廃に成功(外相陸奥宗光)→下関条約(全権伊藤博文、陸奥宗光/李鴻章)→三国干渉(露仏独)で遼東半島を清へ返還→列強の中国分割→義和団の乱(1900)→ロシア事実上満州を占領→日英同盟(1902)→日露戦争→ポーツマス条約/仲介は米大統領セオドア=ローズベルト/日本全権小村寿太郎(1905)→日比谷焼き打ち事件→韓国支配進行(統監府設置)と南満州鉄道株式会社設立→韓国併合条約(朝鮮総督府設置/1910)→関税自主権の回復(1911/外相小村寿太郎)→孫文の辛亥革命(1911)で中華民国成立(1912)→サラエボ事件(オーストリア皇太子暗殺)→第一次世界大戦(1914〜)→対華二十一箇条要求でドイツ権益を移譲させる(→袁世凱政権)→日本、大戦景気にわく(船成金登場)→レーニンのロシア革命(1917)→パリ講和会議(1919)→ベルサイユ条約と国際連盟(←米大統領ウィルソン)→アジアの独立運動(三.一独立運動(韓国)/五.四運動(中国)/ガンジーのインド独立運動)

 3.経済・産業史
  日本銀行設立(1882)→企業勃興→日清戦争ごろ第一次産業革命で軽工業発展(アメリカ向けの生糸/紡績業発展)→日露戦争ごろ第二次産業革命で重工業成長(官営八幡製鉄所、四大財閥形成)→ 並行して交通の発達(東海道線全通/鉄道国有法/日本郵船会社)
 産業の発展にあわせて社会問題発生(足尾銅山鉱毒事件=田中正造)→社会民主党結成→大逆事件(1910/幸徳秋水処刑)→工場法(1911/最初の労働者保護法)
 大正デモクラシー(理論的支柱は民本主義=吉野作造と天皇機関説=美濃部達吉)→農民運動(小作争議)、部落解放運動(全国水平社)、婦人運動(青鞜=平塚明。ただし「青鞜」は1911年であり、厳密には明治時代に創刊されている。)、社会主義活動(日本共産党結成)など

 4.文化史
(1) 文学は時代と内容。明治20年代=写実主義=坪内逍遙→日清戦争ごろ=ロマン主義=与謝野晶子「みだれ髪」など→日露戦争ごろ=自然主義=島崎藤村「破戒」など→明治末〜大正=反自然主義の3分野@余裕派・高踏派=夏目漱石、森鴎外、A白樺派=人道主義=志賀直哉ら、B耽美派=芸術至上主義=谷崎潤一郎ら→大正末期=プロレタリア文学(社会主義的)=小林多喜二=治安維持法で獄死
(2) 美術は、作者と作品(写真も注意)を結びつける。ポイントは@日本美術の再評価=フェノロサ、岡倉天心→横山大観などが育った。彫刻では高村光雲らがいる。A西洋美術=高橋由一「鮭」、黒田清輝「読書」「湖畔」←フランス印象派、B音楽=滝廉太郎
(3) 学問・思想は誰の何かが一問一答。例えば、「東洋のルソー」=中江兆民、キリスト教=内村鑑三、北里柴三郎=ペスト、破傷風、志賀潔=赤痢、野口英世=黄熱病、鈴木梅太郎=オリザニン(ビタミン)などといった具合
(4)大衆文化(大正時代)
@明治時代に設立された同志社(新島襄)、慶應義塾(福沢諭吉)、東京専門学校(大隈重信)らは専門学校扱いであったが、大正時代に大学と認められる。ここから知識人層増加→文化の大衆化
A発行部数100万部を越える雑誌(キング)や、ラジオ放送開始、洋食の普及などが見られ、デパートも開店し女性が社会進出するなど、今の生活のもとが築かれた。  

2005.12.1

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